アシェット 国産名車プレミアムコレクション Vol.42
トヨペット コロナマークU HT 2600 グランデ 1976






なんとみたびの分冊百科、今度は1/43スケールで前期型マークUハードトップの登場です。

このシリーズは「プレミアム」の名前の通り、同じスケールの「国産名車コレクション」よりハイグレードな仕上げを標榜したモデルです。…のようです。正直よくわかってません。かろうじて「1/43で前より少し上等なシリーズが出てるらしい」と知っていた程度です。実を言えばマークUが出るのも出てたのもまったく知らず、たまたま某ークションで残り時間10分の出品を発見して慌てて落札しました。競りもせず定価より安かったのでよかったです。
なおお値段もそれなりにプレミアムで、1/43ながら前回の1/24よりも1割増しの定価になっています。もっとも並の1/43ならこの程度の値段はだいぶ安い方ですから、不満を言うようなことでもないでしょう。

既述のように以前のセダン版は考証も作りも色々と問題がありましたが、こちらはプレミアムを謳うだけあって非常に良い仕上がりです。






何が良いって遂にやっとようやく『トヨペット』の正しい表記がされたことです…!
一生言い続けなければいけないかと思っていましたが、真実の瞬間は思ったより早く来ました。










同じアシェット製なこともあってか、随所に1/24と共通の雰囲気があるのがわかります。取材資料やデータの流用があったのか、それとも単に先に出ていた1/24を参考にしただけなのかは不明ですが。
しかし1/24にあった考証ミス(あるいは解釈違い)はほとんど完全に修正されています。トランクリッドのリブ忘れ、太過ぎるトランクモールの銀注し、フロントシートのパターン違い等々。

ここまで拡大して見るとヘッドライトとミラーがやや大きい感じがあります…が、なにしろ1/43ですから…








後ろから見たときのテールの「小尻感」が1/24と非常によく似ています。
エンブレムのプリントも精密です。飾りプレートが実物と同じなのがまた実に良い雰囲気です。

ボデーカラーは定番のエクストラカッパーメタリック。
1/24の時よりは青っぽい(黄色味不足?)感じ。確か実車の補修用ラッカースプレーでこれくらいの色味のやつもあったような気がしますので、充分許容範囲だと思います。昔過ぎて記憶があやふやですがホルツのでしたかね…少なくともボデーペン(ソフト99)は結構赤くて黄色かったのでボデーペン以外なのは確かなのですが。







ボデー色のロッカー、ロッカーモールもきちんと再現されています。
やはりキャップがめっきだと見栄えがまるで違います。

タイヤ外径が小さい点まで1/24から継承されてしまったのが一番惜しいところでしょうか。
元々サイドモールから下のボリュームがわずかに足りない感じの造形のところに小径のタイヤのせいで更にバランスが狂うのか、横からだとグリーンハウスとロワーボデーのバランスが微妙に見える瞬間があります。もっとも肉眼だとまず感じないレベルで、ここまで視座を低くしてかつ写真でしみじみ見て、重箱の隅的にようやく気になると言えばなる、程度のことです。
そもそも1/43のサイズでここまでプロポーションがどうとか言える時点で本当に凄いことですからね…どうしても画像で拡大してると忘れがちになりますけど…

照明の違いのせいで↑2枚でボデーカラーがかなり違って見えますが、下の方が現物の色合いに近いと思います。上の左からの画像くらい赤くて黄色っぽいと文句なくエクストラカッパー!って感じなのですが。





真上から見るとテールの絞りが強いのに気付きました。
もしかして…と思って確認してみたら1/24もそれなりに絞られていました。ただ1/24のサイズだとそこまで気にならなかっただけだった模様。
フジミのキットしかり、なぜ無闇に尻を絞ってしまうのか…ジャガー的なイメージが先行してしまうのでしょうか…

先ほどから申しております1/24の影響は広過ぎるパッケージトレイに一番顕著に出ていると思います。
リアシートが前過ぎるのですね。実車のバランスはこんな感じです。







エアダクトの桟もしっかり表現。クォーターピラーのエンブレムもきちんと横楕円です。

今回バラして内装を見るまではしていませんが、見える限りではダッシュボードのスピーカーの穴も抜かりなし。実車の配置は真四角じゃなく角丸がとか言ってはいけません。
さすがにベージュに塗られず黒素材色のままですが、ステアリングとシフトノブはちゃんとウッド色で、サイドブレーキレバーは塗られていないのも正解です。







折角なので国産名車コレクションのセダンも引っ張り出して来ました。
ただメーカーオリジナル状態でなく、やっつけ後期化した個体ですので悪しからず。





並べて比較するとセダンとハードトップということを別にしても、結構プロポーションが異なります。
セダンは背高でややゴツく、それに対してハードトップは低く薄く、半周りくらい小さい感じがあります。
しかし恐らく実車に忠実なのはセダンの方な気がします。あんまりカッコよくない部分の再現性が。HTの方は程好く美化されてる感じ。





やっつけ改造部分を抜きにしてもディティール、雰囲気ともプレミアムのHTが圧勝ですが、ヘッドライトのサイズやバンパーの高さあたりのバランスの良さは無印のセダンの美点と言えます。
またミラーの大きさも無印セダンの方が小さく、好ましいサイズです。





…思いっきりピンボケぶちかましてしまいましたがこのまま強行します。

実車より小ぶりで流麗、リア周りが圧倒的に美しいのはプレミアムHTの方です。無印セダンの方はハイデッキ気味なところにランプが少し大き過ぎたので、ややゴツく角張って見えます。

まったく気付いてませんでしたが無印セダンはマフラー位置もおかしかったんですね…あとまるでやる気を感じない飾りプレートでも印象でだいぶ損をしている気がします。





この角度からだと無印セダンは後端の「く」の字の折れ方が不足しているのがわかります。実車もハードトップの方が鋭角なのですが、ここまでの差はないです。
無印セダンのハイデッキ気味というのも本当に「気味」のレベルで、こんなもんといえばこんなもんな感じもあります。

対してタイヤ径は無印セダンがきわめて正確です。このタイヤハイトがあればプレミアムHTもまた印象が変わると思います。
ちなみに無印セダンのタイヤはめっちゃ可塑剤が染み出してました。溶けたりはしていませんでしたが今後が少し心配です。





比較撮影のためにおっかなびっくりベースから外したついでに裏面も撮っておきます。
基本的にベースから外さないであろうモデルでもしっかりモールドされています。マフラーのタイコはめっきです。
ATなのにクラッチレリーズが…(もうええて)
画像だと読めませんが「ALMOST REAL」「SUMS MODEL」の刻印があります。


…マフラーの反対側、右リアサイドメンバー脇になにか出っ張りがあるのは何でしょうね…肉眼ではピン跡でも突き出してるのかと思ってたのですが、明らかに何かをモールドした様子です。ここ何かあるとしてもフューエルフィラーのパイプくらいしかないと思うのですが…でもあのパイプはカバー付いてるよな…謎です。





ちなみに無印セダンの裏面はこんな様子です。
こちらはご存じのように「NOREV」の刻印があります。
ベース付きが前提ならこれでも充分でしょう。一応セミトレ付いてるし。マフラーの位置だけはともかく。





基本的に大変良く出来ており、マニアとしてもお勧めできる1台です。
恐らくこれ以上のクオリティで前期ハードトップがモデル化されることももうないでしょうし、決定版と言ってよい出来だと思います。





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