輸出仕様カタログ資料室
(前期型編)




『クレシダ』として世界中で愛されたマークU、輸出仕様のカタログ写真館。
前期・後期に分けてお送りします。

なお、わが国ではCRESSIDAを「クレシダ」と読まれることが多く、
当サイトでも初めはそれに倣っていたのですが、実際の発音では「クレシダ」「クレッシダ」と
少なくとも音引きは入らないよなあ、ということで「クレシダ」と表記しています。


▼英国 ▼フランス ▼ベルギー ▼西ドイツ
▼オランダ ▼フィンランド ▼スイス ▼オーストリア
▼欧州仕様(仕向地不明) ▼北米 ▼カナダ ▼オーストラリア




英国版、8p(77.6)


まずはイギリス版より。ちなみに順番に特に意味や他意はありません。

ボデータイプはサルーン(セダン)/エステート(ワゴン)、2ドアはない。
エンジンは4気筒2000、トランスミッションは4速、3速オート(サルーンのみ)。

4気筒ながら外観はグリルやドアサッシ/ホイールアーチモールなど、6気筒のLG並み。
前期型だがワイパーは黒塗り、黒樹脂のそっけないドアミラーは、この頃の輸出用トヨタ車の定番装備。

タイヤ/ホイールは5Jの飾りスチールに175サイズがヨーロッパ向けのデフォのようである。





右ハンドルなこともあって、インテリアも見慣れた光景。

ステアリングもやはりL並みのリング付き、タコメーターが装備され、メーター左下には国内仕様にはなかったレオスタットが付く。



同8p(77.12)


明らかに同時に撮影されたアングル違い。
前出の半年ほど後のもので、内容はほぼ同一、「エステートのオートマ車が選べるようになりました」と書いてあるのが殆ど唯一の違い。







フランス版、10p(77.8)


ベルリーネ/クーペ/ブレーク、という呼び方になっているのがフランス。ああエキゾチズム。
エンジンはやはり4気筒2000、ブレークが4速フロアのみ、それ以外は5速、ベルリーネのみオートマも選べる。

外観は英国向けとあまり変わらないが、こちらは銀ワイパー。





pour(for) "gentleman farmer"”の響きがステキ。
「gentleman farmer」で「趣味で農業を行う大地主、豪農」の意味があるそうだが、フランス語圏でも同じ意味で使ってるのかどうかは不明。





内装もハンドルが左に移った程度であまり変わらない。
メーターやセンタークラスターは全て右ハンドル用の左右反転だが、右ハンドル用と共用にしているグローブボックスのバッジ位置だけが異なる。
タコメーターは付かず、EDモニター。

見辛いが、水温計の下左右にオイル/チャージ警告灯が設けられている。
輸出仕様にたびたび見られる光景だが、排気温/ベルト警告灯やOKモニターの場所は盲蓋で使わず、かつ国内仕様の低グレードのようにハイビーム/シートベルト灯の下にまとめずに独立させた意味がよくわからない。
使用環境やユーザーに関係して特に目立たせる必要があったのだろうか。







ベルギー版、6p(77.4)


4気筒2000のセダン/クーペ/ワゴンとあるが、セダンとワゴンはグレードがDe Luxeは4速フロアのみ、Super Luxeは3速オートのみと分けられている。クーペはSuper Luxeのみだが、いずれのミッションも選択可能。

ワゴンのことを表紙では「ブレーク」と書いているが、中身では一貫して「ステーションワゴン」と書いている。どっちやねん。





表紙のセダンはターコイズブルー、見開きのクーペは黄色、そして赤いワゴンと粋なカラーリングが印象的。サイドモールレスなのでやや質素な雰囲気だが、ドアサッシモールは付く。
インテリアの写真でことごとくラジオが墨塗りされているのはオプション設定だからか。





よくよく見ていて気付いたが、表紙の左ピラーには緑色の線でアンテナのアウトラインが描かれている。
他のページに載っているクーペにも同様の書き込みがうっすら見られる。
後から修正描き込みをするつもりだったのに忘れたか間に合わなかって、しかも下書きの線を消さずに刷ってしまったというところか・・・何ともはや。




同6p(77.4)


こちらは版違い。
「素」のDe Luxeグレードがフィーチャーされているのが面白い。





デラックスと言いながらもシートは全面レザー、コンソールはボックスどころかフロント側も一切無し。なんか部品足りなくね?という感じすらする。
よく見るとグリルもメッキでなくシルバー塗装のようで、内容はスタンダード相当である。





こちらのカタログではセダン、クーペともリアフォグが付いている。







西ドイツ版、18p(77年)


リムジーン/クーペ/コンビ、やはり4気筒2000。
マニュアルミッションはクーペのみ5速、他は4速。全車3速オートも選べる。





クーペはスポーティな仕様ということで5速が設定されているようだ。
リムジンはEDモニタだが、クーペはタコメーターも付く。

3ウェイキャビンの分かりやすいカットもお約束。





真っ赤なコンビ。
やはりモールがあるだけで全然感じが違う。シートや荷室もファブリック張りで快適さが売り。

リアゲートのボタンの周りに黒いガード?が付けられているのが興味深い。





「安全対策も万全」的なページには、クラッシュテスト含めて貴重な?テスト中の画像が使われている。
写真が裏焼きなのは絵的に左ハンドルの方が良いという判断だったのだと思われる。
プレートの「耐久走行」が鏡文字でもドイツの人には分からないだろうし・・・







オランダ版、14p(77年)


セダン/ハードトップ/ステーションワゴン、4気筒2000。
ミッションは4速(セダン・ワゴン)5速(ハードトップ)/3速オート(セダンのみ?)。

グリルのリムへの映り込みを見るに、カメラマンは赤と青のチェックのシャツを着ていたようである。
許されざる柄・・・というよりアメリカ建国記念風である。どうでもいいけど。





こちらはドアサッシ、サイドモールは付くがホイールアーチはナシ。
仕向地によって想像以上に細かく仕様が分けられていたのが伺える。





カタログ写真ではワゴンだけ、汎用品と思しき細めのサイドプロテクトモールが付いている。
リアドアとホイールハウスの間の狭いスペースにも律儀に貼ってあるのが面白い。





見慣れないシートベルトバックル。







フィンランド版、8p(77.9)


ボデータイプはセダンとワゴンだが、ワゴンは“Farmari”という呼び方がされている。
「ファーマー(農民)ワゴン」と言ったところだろうか。
エンジンはやはり4気筒2000、4速フロア/3速オート。





これまで挙げた仕様はドアミラーがなかったり(フランス仕様は表紙写真でだけ付いている)、付いていても運転席側だけだったりしたのだが、こちらは両側に付いている。
サイドモールがまた細い汎用品に(全タイプ)。リアフェンダーにはこれまた汎用品と思しきマッドガードが付いている。“TOYOTA”の文字入りのようなので販売店の標準装備なのだろうか。

ヨーロッパはまだ排ガス規制が緩かったので、マフラーエンドにはディフューザーが付かないのは勿論だが、飾りのマフラーカッターも付かない。他の国向けのパイプエンドはいずれもストレートカットだが、こちらは珍しく斜切り。

車高が妙に高く見えるのが気になる。








“Farmari”。

よくよく見るとモールは少ないし、ラッゲージルームはビニール張りである。
何の事はない、ステーションワゴンではなくバンなのだ。
クォーターピラーの内張さえないということはグレードとしてはSTDだろうか。







スイス版、6p(発行年不明)


バリエーションはセダン/ハードトップ/ステーションワゴン、4気筒2000、5速/3速オート。
スイスは公用語が4つもあるそうで、表紙中央右下の如く同じ事が違う言語でいちいち書いてある。

写真が妙に左右に伸びていて、ジャガーXJ6と思うほどワイドボディに見えているが、意図したものかどうかは不明。ワイパー位置から、右ハンドル車のものを修正した写真と思われる。








表紙からしてそうだが、中も編集が粗雑な印象。写真に加筆してあるのは明らかだが・・・下手くそすぎて着色写真みたいなことになっている

ダンボの如く巨大に映るドアミラー、のっぺりした黒いステアリング、いきなり出てくる旧タイプの真ん丸い5速シフトノブ等、見所満載。




同16p(77.5)


こちらはもう少し詳細なもの。
表紙の車両は塗色が一見シルバーに見えるが、よく見るとブラウンの車両に銀インクを重ねているだけ。なかなかの荒技。





本当はこんな色です。





先の簡易カタログと違って、中身もごく普通で落ち着いたもの。
面白くないと言えばそれはそうですが。





ツッ込みどころはない代わり、イラストによる図解が多めなのがちょっと楽しい。







オーストリア版、8p(発行年不明)


バリエーションはリムジーネ/コンビ、4気筒2000、リムジーネが5速、コンビが4速のみ。








中身は4気筒ながらモールの他にホイールキャップも装備され、6気筒Lグレード並みの佇まい。
ミラー無しなので妙にあっさりして見える。

何だか縮尺がおかしくも見えるが、合成でもないようで・・・
この人でかくね?2メートル近いのではなかろうか。女性の方もまた負けず劣らずのタッパである。普通クルマと並べて撮る場合、クルマが大きめに見えるように小さめの人を並べるものなのだが。
隣のクルマが小さく見えます・・・





グレーのインテリア・・・なのだが、よくよく見ると何故かダッシュボードだけ明らかにベージュ色。

部品の都合か何かで、間に合わせに色違いのインパネを組んで撮影したのだろう。
実は他のカタログでも同じカットが使い回されているのだが、ほとんどはちゃんとダッシュボードの手前でトリミングしてある。うっかりした例。(実はひとつ前のスイス版にもちらっと写っている)







欧州仕様(仕向地不明)、24p(77.2)


他のカタログは販社名や販売店印から仕向地が判別できたのだが、これにはその辺りが(少なくとも小生の言語能力ですぐ判るレベルでは)書かれていないので、フランス語圏で左ハンの国向け、というところまでしか識別できない。
あるいは複数の仕向地に使えるようにあえて明記していないという可能性もある。

表紙の写真は前出のオーストリア版と同じものが使用されている。








ボデーはベルリーネ/クーペ/ブレークの3タイプ、デラックスのみのハードトップ以外はデラックスとスタンダードが選べる。エンジンは全て4気筒2000。

ミッションはスタンダード車が標準でコラム3速、オプションで4速フロア。
デラックス車は4速フロアと3速オート、ベルリーネデラックスのみ3速コラムも選べる。

ライトブルーメタリックにグレーレザー内装のスタンダード、真っ赤なハードトップなど実にカラフル。
ハードトップはデラックスでもシートは(スポーティに?)レザー張りのようだ。







北米版78年モデル、12p(77-10)


北米向けは、ちょっと知的でリッチなホワイトカラー向け高級サルーンという位置付け。
国土の広さもあって、エンジンは6気筒2600シングルキャブ。ミッションは4速のオートのみ。
ボデーバリエーションはセダン/ステーションワゴン。

78年モデルだが発行は1977年。





この時代の定番、お馴染み5マイルバンパー。ワゴンのウッドグレインもお約束。
グランデ用キャップにホワイトリボンがお洒落を演出。

2600エンジンにグランデ用キャップと聞くとグランデと同等のように錯覚するが、セダンのリアタイヤの位置で判るようにリアサスは4リンク、リアブレーキも当然ドラム。





内装はL並みの、意外に質素な仕上げ。
“E.S.P.(Electro Sensor Panel)”と称する3項目OKモニターが装備される。パワステも当然装備。





このカタログではクルマそのものの他、トヨタの販売・サービス体制がいかに優れているか、を結構なスペースを割いて解説している。このおっちゃんがプレゼンターのようで、もしかして当時のアメリカでは有名人だったりするのかも知れない。

机に腰を掛けるのはいいが(よくないけど)、お客様のお車に足をかけるんじゃねえ!







カナダ版、8p(発行年不明)


基本的には北米仕様と同じようで、カタログも写真の共用が多い。
ワゴンはなくセダンのみ、6気筒2600、4速オート。





同じくカナダ版、こちらは一枚モノ。







オーストラリア版、12p(77.3)


またしても同じ写真が使用されている。
オーストリア(墺太利)版とオーストラリア(濠州)版がそっくりというのは大変紛らわしいのでやめて欲しい。

バリエーションはセダン、ステーションワゴン。
エンジンはやはり国土の広さからか6気等2600が選ばれているが、組み合わせるミッションが4速フロアか3速オートな辺りがお国柄か。
「バリアブルレシオ云々」の表記を見るにパワステも未装備の模様・・・と思ったのだが、実車でパワステ付きのものを見てしまったので、実際はどうだったか不明。




このカットではサイドプロテクトモールが付いていないが、大きな写真では写真修正でモールが付けられている。実際の仕様がどちらなのかはこれまた不明。
サイドモールがないだけで異常に質素な雰囲気に。




ステーションワゴン。

クォーターウインドウに注目、リアに3点式ベルトが付いているようだ(セダンのリアは2点式)。




オーストラリアなので右ハンドル、なので見慣れた光景・・・と思いきや、グローブボックスのバッジ位置が逆である。
バッジが右上に付く型があるのなら、左ハンドル用にこれを使えばよかったのにと思うのだが・・・







→後期型に続く






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