知っていますか−スズキハッチ








はなはだ唐突ですが、「ハッチ55」というクルマをご存じでしょうか。


「フロンテハッチ」と言えば聞いたことがあるという方も少なくないのではないでしょうか。OT誌上において甲賀氏に『嫉妬深い町娘のような顔つき』と神懸かりな渾名を授かり、大きく誌面を飾りました。ボロかったけど。要するにフロンテ360のバンです。もう少し言うとOT誌に出たばかりの角目の「フロンテバン/エステート」と、世紀の傑作車「47万円アルト」の間を繋ぐモデルと言えます。この時期軽自動車規格が360ccから550ccに拡大されたのに合わせて、フロンテハッチも550化され「フロンテハッチ55」に変わりました。


そもそも軽規格拡大前後のクルマはラインナップがやたら込み入っていて分かりにくく、更に年式的にも興味を持つ人が少ない。この辺りは排ガス規制前後の普通車と似たところがあります。それでも360のフロンテハッチの方は雑誌効果かあのインパクトの強いご面相のせいか話題になることもそこそこあるのに対し、550の方はほぼスルー。諸元すら定かでない。この不公平は如何なるものであるかと。


拙宅では昔、店の配達用としてハッチ55を使っていました。ファミリーカーがチェイサーだったのと同じ時期です。就学年齢前には既にカーキチ(死語)であった私は、クルマに乗りたいがために助手席に乗って配達に付いていったことも何度もありました。子供ですから当然運転はできないものの、助手席からギヤチェンジだけさせてもらったりもしました、流石にアップ方向だけでしたが。最初は運転手から合図があったらシフトアップ、とやっていたのですがそのうち慣れて来て、言われなくてもタイミングを読んでシフトできるようになっていました。ある時エンジンの音だけで素早いシフトアップをしたところ、「あれっ、まだクラッチ切ってなかったのに」と驚かれました。「ああ、ギアボックスというものはクラッチ切らなくてもタイミングさえ合えばシフトできるものなんだ」と知ったのはまだ小学生の時分です。
ハッチは十年を待たずにお役ご免となったのですが、すぐには解体されず庭に置かれ、その後数年間中学生の玩具兼離れ小部屋として余生を過ごしました。


そんなわけでハッチ55には思い入れが深いわけです。人生最初の愛車と言えなくもありません。結局運転したことは一度もなかったですが。
しかしながら今になってネット上を漂ってみても驚くほど情報が少ない。存在すらろくに知られておらず、諸元すらまともに調べることもできない。一応知っている、という人はそこそこいるようなのですが、いざ詳しいこととなるとほとんど何にもわからない。このあまりに不憫な状況を少しは是正すべく、この度カタログとデータをアップロードする事にした次第であります。


などと言ってはみたものの、手持ちの資料では自信を持って年代を追えるほどでなく、結果データとしてもはなはだ不正確という情けない有様だったりするのですが。しかし全て揃うまで待っていたのではいつになるか分からない、出さず仕舞いで人生終わってしまうかも知れません。そもそも揃うかどうかもわからんのだし。手元で調べてある程度のことは分かったので、あくまで分かる範囲で、何か分かったら随時変更ということで何分どうかひとつ。もちろん改めて言うまでもないのですが知りたいと思っている人がいるかどうかはこの際置いておいて。俺の歌を聴け。俺の話を聞け。でも5分だけってワケにゃあいかないぞ。





何ページも使う使うつもりはなかったのですが、1ページにまとめるとあまりにも長くなってしまうので分けました。
一応番号順にどうぞ。




ページ1

ページ2(360cc)

ページ3(550cc)

ページ4(ナゾ(とおまけ)

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※この口上は一番始めに書き綴ったものなので、かなり調査と資料収集が進んだ現状にはいささか不釣り合いな気もするのですが、所信(初心?)表明のようなものとしてあえて書き直さずそのまま残しております