デザイン・スタイリング
3代目マークU開発時のスタイリングの流れ(のたぶんごくごく一部)。
※キャプション・コメントは全て個人の感想です
大元のデザインイメージとなったであろうスケッチ。 大小4灯のランプからまず多くの人が連想されるのはやはりジャガーであろうが、ノーズからサイドへ流れるシボレー・モンテカルロ風ラインと重ねて考えると、どちらかと言うとクライスラー・コルドバ調と言った方が適当なような気がする。 それにしてもラインのうねりが凄い。三次元化するとあちこち辻褄が合わなくなりそうである。 想定されているフェンダーとフロントパネルの切り方が違うのも興味深い。 |
大胆なラインを描くサイドビュー。色のせいか何となくイルカを連想させる。 モデル末期に設定されたツートーンもその場の思い付きではなくデザイン当初から考えられていた・・・と考えるのは多分好意的解釈過ぎるだろう。 センターピラーを太くするとともにリアウインドウを側面まで大きくラウンドさせ、クォーターウインドウと連続させるアイデア。 ひとつ前のイラストと同じクルマの側面として描いていると思うのだが、フロントがどうなっているのかよくわからない。リヤもだけど。 |
ダイナミックな前半分と比較すると、リアビューは相対的に大人しく、というか寂しくも見える。 2対の縦型テールランプも、やはり当時のアメリカ製ハードトップを彷彿とさせる。 |
セダンのデザインスケッチ。 アグレッシブなハードトップのイラストを見た後では、どうしても随分と「ふつー」に見えてしまう。 ラインの抑揚は大きいが、生産車とほぼ同じライン構成がすでにできあがっている。 |
別のクルマのイメージスケッチが紛れ込んだようだが、一応マークUのもののようである。 上はリア窓/クォーター窓一体化をもう少し現実的に処理したものであろう。控えめながらボートテール風のラインが見られる。 リア周りはまるで違うが、バンパーラバーがもみあげみたいに上まで繋がっているのが面白い。 ポンティアック顔の下はオペラウインドウスタイル。当時のクラウン(MS90)や810ブルーバードを思わせる。 |
こちらはぐっと現実的になったイラスト・・・だが、セダンは現実的になりすぎて生産型よりボクシーでそっけない形になっている。 ハードトップはおおむね生産型のライン。クォーターピラーのダクトはRT100系コロナセダン風。 |
こちらはダッシュボードのイメージスケッチ。 とは言うものの、ご覧の通り生産型とは似ても似付かない。 またしても違うモデルのイラストが混じったかと思うようだが、右のカラーの方のセンターコンソール周辺にわずかに似通ったイメージが認められる。 |
初期スケッチの顔を生かした原寸大モデル。 内側ライトの径が大きめ、かつ外側ライトも2灯用(7インチ径)より小さいようで、2灯+補助灯でも完全な4灯でもない感じの微妙(悪い意味で)なバランスになっている。イメージとしてはジャガーに近いが、この車幅でこのバランスは少々苦しい気がする。 フロントバンパーはエクステンションでタイヤハウスまで伸ばされ、リアもボデーに馴染んだ形状になっている。 コンシールドワイパーのようなのも興味深い。 |
同じイメージのセダン。 こちらはライト径のバランスが取れ、落ち着いた顔になっている。 生産型よりもグリル下部の逆反りが大きいのと、リアホイールアーチが大きめなのが目に付く。レインドリップもピラー後端まで伸びる形状になっているようだ。 |
リア窓/クォーター窓一体化モデルのスタディ。 キャビンやウインドウのバランスはさておき、リアピラーが細い。外からは細く見せて実際はもっと太くするとしても、センターピラーに結構負担がかかりそうである。 リアピラー表面は光沢仕上げのようなので、ヒドゥンピラーとして3枚の窓を一体に見せる考えはなかったようだ。 それよりもテールランプがきもちわるい。とてもきもちわるい。 |
一気に現実的なハードトップのモデル。 先のイラスト同様、現実的になりすぎたのか実車より角張っているのが面白い。実車より現実的な?デザイン検討用モデルというのも珍しいのではなかろうか。 丸4灯風はやめて四角いスモールランプになっているが、後期型のように縦長四角である。 |
セダンの最終(承認用)モデルと思われる。 わずかにプロポーションが違うがほぼ完全に生産車そのもの。普通すぎてコメントもあまり思い浮かばない。 フロントバンパー下のエグリとエプロン側の幅が違うのがちょっと面白い。 |
同ハードトップ。 見辛いがクォーターピラーのガーニッシュ下端にエンブレムが付いているようだ。チェイサーに生かされたアイデアである。 リアフェンダーのエンブレムは間に合わせに旧型(この時点では現行モデル)のものが使われている。 サイドモールレス、細い飾りスチールホイール、そして塗装仕上げのフェンダーミラーと、低グレード(生産車だとGL相当か)で作られているのが興味深い。 |
こちらも承認用と思われる。 センタークラスターが目に付くが、ほぼ生産車そのままのレイアウト。 左ドアの内張を見るに、この時点でもう後期型のチンチラ調モケット地(クラッシュド・ベロア)の採用を検討していたことが分かる。 |
ステアリングパッドのバッジがわずかに異なるが、同じモデルかと思われる。 グローブボックス下に股火鉢ならぬ股冷やし?のクーラーダクトがあるのに注目。運転席側には後年採用されているが、この時点で既にアイデア自体はあったということである。 左右のドア内張で大型アームレストの有る無しが作り分けられているのが面白い。 アームレスト付きの方は取っ手(引き手)の位置を迷ったようで、まさに取って付けたような位置に付けられている。 |
デザイン室でのひと幕と思われる一枚。(撮影用のヤラセな気もしますが) 正面右奥に前述した「もみあげボートテール」と思しきイラストが見受けられる。 そのすぐ左は一見MS90クラウン風だが、よーく見るとクォーターピラーの形状からやはり同じ流れでの一枚であると推察される。 右側の壁にはだいぶ生産型に近いイメージのダッシュボードが散見される。よく見えないけど。 |
参考文献・資料 三栄書房「モーターファン」1977年2月号 同「モーターファン カースタイリング」18号 トヨタ自動車工業発行「トヨタグラフ」1977年夏季号 |
発掘篇 | 路上復帰篇 | 路上抗争篇 |
|
||
資料室 | チェイサーTOP | HOME |